こんにちは。Kです。
色々奥が深い「カメラの世界」において、その内容をブログで綴るなら、
「
誰でも解るカメラ講座」
のような話の方が、より多くの人の為になると思います。
しかし、このシリーズの名前は残念ながら「
目くるめくデジカメの世界」です。
「めくるめく」は漢字では「目眩く」と書き、意味としては「目がくらむ。めまいがする。」と言う言葉です。
つまり「誰でも解るカメラ講座」では、誰も目がくらまないし、めまいもしないのです。。。。
ということで、ほとんどの人には意味不明の雑文であり、意味が解る人には、ただただ暗く深い闇へと落ちて行くだけの記事。
今日は、そんな当ブログの大人気シリーズをお届けします(笑)
目くるめくデジカメの世界㉜ 〜絞りと画質の関係。レンズの周辺と口径食~
ミラーレスが主流となった一眼カメラでは、一眼レフ時代に比べてF値の小さい「
明るいレンズ」が増えています。
これはメーカーの技術力の発展もありますが、「光学ファインダーの欠点が足を引っ張らなくなったから」と言うのもあります。
というのは、光学ファインダーはレンズを通した光を磨りガラスのような「
フォーカシングスクリーン」に投影して像を見ます。
フォーカシングスクリーンの性能は、「
拡散性」と言われる光を散らす量で決まります。
拡散性が高いと、よりシャープにピントを見る事ができる反面、光が拡散してしまうため、ファインダーが暗くなります。
逆に、拡散性が低いと、ファインダーは明るく見えるのですが、ピントの山が見えにくくなります。
このような理由から、一眼レフカメラの光学ファインダーには、ピントと明るさのバランスを考慮して、「f2.8」くらいまでが見えるフォーカシングスクリーンを備えた物が一般的でした。
これは逆に言うと、f2.8よりずっと明るいレンズを使う場合、光学ファインダーでは「
ピントの山が見えない」と言う事です。
そのため、明るいレンズを作っても、ピントが見えなくて使えないと言う場合があり、あまり明るいレンズに需要がありませんでした。
しかし、ミラーレスカメラの場合、そもそも問題となる「フォーカシングスクリーン」がありません。
あるのは、画像素子で捉えた画像をダイレクトに映す「
電子ビューファインダー(EVF)」です。
このファインダーは、明るいレンズだろうとなんだろうと、バッチリ明るく視認が出来て、ピントをバッチリ合わせる事が出来ます。
ということで現在では、はやたらと明るいレンズが市場に出まわるようになったようです。
どちらにしろ、以前の記事で「
明るいレンズは正義」と言った通り、明るいレンズは万難を排します。
しかし、それは「
その明るさを常に使い続ければ良い」という意味ではありません。
むしろ、開放で撮るというのは、多くの欠点があり、写真のクオリティを大きく損なっている可能性があります。
そのため、結論から言ってしまうと、レンズの絞りは、「
絞って撮る」のが基本なのです。
なぜ絞り開放はダメなのか?
絞る方が画質が良くなる理由はいくつかあり、一つ目は、レンズはその光学的な特性により、レンズ中心部と通る光が最も解像度が高く、レンズ周辺と通る光ほど、解像度が悪くなります。
レンズを通った光は、「焦点」で結像しますが、どうしても散らばりがあります。
そのため、周辺を通る光を使うと、どうしても「
滲んだり、ボケた感じ」になってしまいます。
これを回避するには絞り羽根で、周辺部の光をカットします。
これだと、レンズ中央を通る解像度の高い光だけでを使う事が出来るので、写真全体の画質が良くなるのです。
また、レンズは「
周辺減光」といって、画像の周辺部に行くほど、光が弱くなり、暗くなる性質があります。
周辺減光の発生は、主に2つの理由があり、ひとつが「
コサイン4乗則」です。
これは、レンズ周辺部を通って角度が付き、「斜めの光」になる事で起こる減光です。
光は距離が遠くなるほど、光が弱くなります。
それはレンズ内でも同じで、レンズ中心部を直線的に進む光に比べ、レンズ周辺部を曲がって進む光は曲がる分、距離が長くなり減光してしまいます。
そしてもう一つが、レンズの「
口径食」による影響です。
※ファミリーキャンプのちソロキャンプ へりさんの写真。
この写真は夜のイルミネーションを「
玉ボケ」を使って撮影した写真です。
この「玉ボケ」が画面中央では「真円」なのに対して、画面の四隅に近い物ほど「レモン型」や「半円型」になっているのが解ります。
このような本来の形ではなく、周辺部の画像が欠けてしまう現象のことを「
口径食」と呼びます。
口径食はレンズの筒(口径)が邪魔して、光の一部が欠落する(食)状態を言います。
この場合の「食」は、月食や、日食など、「欠ける」という意味の食です。
この現象は、くどくどと文章で説明するより、実際にレンズを見た方が解りやすいです。
レンズを真後ろからみると、前玉はレンズの形の通り「真円」に見えます。
しかし、これを少し斜めから見ると、レンズの筒に遮られてしまい、先ほどの写真周辺にあった「
レモン型」になって見えます。
本来通るはずの光の一部が欠けると言う事は、その分「光量」が落ちてしまうので、周辺部で発生しやすい口径食の影響は、そのまま「周辺減光」の原因となるのです。
そして、これも「絞る」事で、レンズの中心だけを使うようにすると、口径食の影響が無くなる(少なくなる)のです。
どちらにしろ、レンズの周辺部はあまり良い事が無く、それは絞りを絞る事によって「
悪い部分をカットする」事が出来るのです。
とは言え絞り過ぎもダメ
絞ると画質が良くなるのであれば、撮影のシチュエーションが緩く限り、大きく絞った方が良さそうに感じます。
しかし、レンズの難しい所は、絞り過ぎても画質が落ちるのです。
大きく絞ると、画質が落ちる現象を「
小絞りボケ」などと言います。
この原因は、先ほどのレンズの特性とは違い、「光の回折」と言う現象によって引き起こされます。
光は「光子」と呼ばれる素粒子で出来ています。
この光子は、粒子のような「物質的性質」と、波動、つまり「波の性質」の両方を持ちます。
そのなかで、回折というのは光が持つ波の性質で発生する現象です。
波には、進行方向に「障害物」があると、この図のように、障害物の裏側に回り込む性質があります。
そして、レンズの場合この障害物が「絞り羽根」です。
そして回折は、強く絞れば絞るほど影響が大きくなります。
特に、デジタルカメラで、高解像度のセンサーほど、この影響が大きいと言われいます。
どちらにしろ、画質を上げようと絞り過ぎると、逆に像が滲んだ写真になってしまいます。
では絞りの設定はどうすればいいのか?
絞りは、開けっぱなしでもダメで、絞りきってもダメだとすると、実際の撮影シーンではどうすれば良いのでしょうか?
とうぜん、レンズの特性はそのメーカーや種類によって様々です。
ただ、ざっくり言ってしまえば、設定は「
f8〜f11」の範囲で設定すれば大丈夫です。
理由としては、収差系は、開放値から2段(+2EV)程度、絞ればかなり改善され、小絞りボケはおよそ「f16」くらいからハッキリと画質低下が現れます。
例えば、開放f値が「f2.8」のレンズであれば、「f8」くらい。
開放f値が「f5.6」くらいのレンズであれば、「f11」にする感じです。
あとは、撮影のシチュエーションによって使い分けます。
例えば、「ボケ足」が欲しい撮影なら絞りは開放でも良いですし、「極限までシャッタースピードを落としたい!」というのであれば、限界まで絞り込めば良いのです。
まとめ
明るいレンズの良さは、狭い被写界深度を使ったボケ足の表現力だったり、暗くて写らなかった夜空の星々を撮ったり出来る事がだと思います。
しかし、特にキャンプなどのシーンを撮影する場合、その多くは、「パンフォーカスレンジ」が主体となると思います。
その場合は、開放値での恩恵はほぼないので、絞って撮るのが画質が良くなります。
最近のデジタルカメラは、レンズの特性の情報を読み込み、周辺減光などをデジタル的に補正する機能があります。
そのため、あまり気にならなくなっているのは事実ですが、少し絞るだけで解決する事を面倒くさがっていては仕方ありません。
明るいレンズの開放値は、ある意味「リミッター」の外側にある性能です。
それは、「画質をある程度無視しても、それを使って表現をしたいシーンがある」と言う事です。
「
写真は圧倒的に自由で、フォトグラファーはカメラは好きなように使って良い」
これが、全ての話の大前提になります。
ですので、このシリーズを書く目的も、「写真を撮る時のヒントのひとつになれればいいな」といつも思っています。
そして、こういったレンズの特性やカメラの性能を理解することは、フォトグラファーが、
「
本当に撮りたい写真」を真剣に求めた時、必ず必要になる知識だと思っています。
カメラに撮らされる1枚ではなく、カメラを駆使して撮る1枚として。。。
おしまい。。。。。。
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