クーラーボックス シマノ 「フィクセル リミテッド 300(フィクセル リミテッド 30L)」 後編
こんにちは。Kです。
今回は、クーラーボックスの話の後編です。
前回の記事はこちら
クーラーボックスで使われる断熱材は大凡以下の通りです。
真空パネル > 発泡ウレタン > 発泡スチロール
では、それぞれの素材はどのようにちがうのでしょうか?
●真空パネル
真空パネルというとなんか硬質の素材のような気がしますが、真空パネルは金属フィルム(アルミなど)のパックにウレタンやグラスウールなどの芯材を入れて空気を吸い出した物です。
布団を入れて、掃除機で空気を抜いた「布団圧縮袋」のイメージですね。
ポイントは空気を抜くことで、気体の「熱伝導」が限りなく少なくなる為、他の断熱材に比べ、圧倒的に断熱効果が優れていることです。
欠点は真空パネルに穴が空くと中に空気が入ってしまい、真空断熱の効果を一気に失う事です。
穴が空いた場合の性能は、中の芯材によりますが、ほとんど発泡ウレタンなどと変わらなくなると思います。
あとは、値段が高い事ですね。
●発泡ウレタン
ウレタン樹脂に発泡剤を加えて作られたものです。
気泡の形で熱伝導率の低い空気を閉じ込めて断熱します。
クーラーボックスの断熱材は、液体のウレタン樹脂を流し込んでから熱を加えて発泡させます。
このため他の素材より隙間無く断熱材を詰める事が出来ます。
熱伝導率だけなら発泡スチロールとさほど変わりないのですが、気泡がより細かいのと成型するときの利点で、クーラーボックスの隅々まで充填することができるので、発泡スチロールより高い断熱効果があるようです。
欠点は発泡スチロールより重量がある事。
加水分解などにより、発泡ウレタンは成型した時点からどんどん劣化していく事です。
●発泡スチロール
ポリスチレンを気泡に含ませたもので、一般的に良く見かける断熱材です。
ちなみにスチロールはスチレンの別名です。
これも、空気を閉じ込める事によって断熱効果を発揮します。
成型しやくすく軽量であるのが大きな特徴です。
欠点は他の断熱材に比べると断熱効果が見劣りすることです。
それぞれの素材の大凡の熱伝導率(W/mK)は以下の通りです(数字が小さい方が熱が伝わりません)
真空パネル 0.002~0.004
発泡ウレタン 0.02~0.03
発泡スチロール 0.03〜0.04
見て解るように、真空パネルは他の断熱材の10倍ほどの断熱力があります。
発泡ウレタンと発泡スチロールには熱伝導率では大きな差はありませんが、隙間無く断熱材を充填出来る点が性能差として現れるようです。
クーラーボックスの性能は断熱材の「厚さ」と「大きさ」によって決まります。
「断熱材の厚さ」はそのままで、厚ければ厚いほど、熱が伝わり難くなります。逆に薄いと熱が早く伝わります。
「大きさ」は庫内の容積、つまり容量が「大きい方」が有利ということです。
というのは計算するとわかりますが、容積が2倍になっても表面積は2倍になりません(1.58倍くらい??)
容積が大きい方が、熱を吸収する外側の面積が少なくてすむので、自然、氷が長持ちします。
クーラーボックスは以上の点を踏まえて、用途や目的にあわせて性能が付与されています。
安さや軽さを追求すれば「発泡スチロール」を使ってコストダウンや軽量化を図るでしょうし。
お金に糸目を付けなければ大きくて重いクーラーボックスに真空断熱材を使って行けば良いわけです。
実際の製品でも、例えば「氷が溶けない」という「性能」だけを考えると、大容量で断熱材の分厚いクーラーボックスと言う事になります。
例えば、スノーピークの「ハードロッククーラー75QT」やコールマンの「エクストリームクーラー70QT」などは性能的に高い保冷力を誇りそうです。
ただ、大きいです。
70Lなんてデュオキャンプでは要らないでし、プジョーに載りません・・・・。
デュオキャンプで積載を圧迫せずに性能の良いクーラーボックス。
そうなると「真空パネル」を使っている小型(中型?)のクーラーボックスが威力を発揮します。
真空パネルという素材の優れている点は、発泡ウレタンと同等の断熱効果であれば1/10の厚さに出来る点です。
つまり、真空パネルが使われているクーラーボックスは「小型で高い保冷力をもつ製品」だと言えます。
そして、それを使っているのが釣具メーカーのクーラーボックスでした。
釣具の場合、釣った魚を保冷するのは勿論ですが、おそらく釣りをしながらの移動も考慮されています。
その辺がキャンプ用と設計の考え方の違いとして現れているようです。
私たちが選んだのはシマノ「FIXCEL LIMITED 300」でした。
※2024年現在、同等品は「フィクセル リミテッド 30L」になっています。
シマノのHPより
容量30L、3面真空パネル+発泡ウレタンのクーラーボックスです。
シマノの定めるクーラーの性能は「I-CE75h」だそうです。
シマノのクーラーボックスは独自の基準で「I-CE値」で表しています。
条件は32℃の外気温にクーラーボックスの容積の20%の氷をいれて24時間後に計測、そこから推測値で氷が完全に溶けるまでの時間だそうです。
「I-CE40h」だと中の氷が溶けきるまで40時間かかるという事です。
私たちの「FIXCEL LIMITED 300」はI-CE75hですので凍った2Lのペットボトル3本が全て溶けるのに3日かかることになります。
2泊3日ならこれだけで持ちます。
それ以上の連泊だと、そもそも冷やしておく食材を食べ尽くしてしまいますし、途中の買いだしで氷も買えば解決です。
実際、2泊3日の気温30度のキャンプの最終日にも中に氷が残りました。
つまり3日間冷え冷えでした。
前回の3泊4日のカンパーニャ嬬恋の帰りの写真です。
家に着いても持って行ったぺちゃんこ水筒の氷が残っていました。
ちなみにFIXCELシリーズの最高峰「FIXCEL PREMIUM 300」の場合、さらに15時間多い、I-CE90hです。
この性能の差をどう考えるかですが、お金に余裕があるならPREMIUMで間違いは無いと思います。
圧倒的な性能を確保するなら「フィクセルプレミアム」
実用域での財布とのバランスをとるなら「フィクセルリミテッド」だと思います。
楽天ショップ
シマノ(SHIMANO) NF-230V フィクセル リミテッド 30L ホワイト 817822
シマノ フィクセル ウルトラ プレミアム 30L ホワイト NF-030V (クーラーボックス 釣り 中型)
amazon
シマノ(SHIMANO) フィクセル リミテッド 30L NF-230V ホワイト
シマノ(SHIMANO) フィクセル ウルトラ プレミアム
今回は、クーラーボックスの話の後編です。
前回の記事はこちら
2016/08/19
こんにちは。Kです。夏場のキャンプは食材の保冷が悩みです。デイキャンプや1泊ほどならそれほど悩みませんが、2泊以上の連泊となると、クーラーボックス選びは夏キャンプの生命線になります。(その日の食材を毎日買い物へ行けば問題無いですけど)そこで私たちのキャンプは「食材の安全」という観点か…
クーラーボックスで使われる断熱材は大凡以下の通りです。
真空パネル > 発泡ウレタン > 発泡スチロール
では、それぞれの素材はどのようにちがうのでしょうか?
●真空パネル
真空パネルというとなんか硬質の素材のような気がしますが、真空パネルは金属フィルム(アルミなど)のパックにウレタンやグラスウールなどの芯材を入れて空気を吸い出した物です。
布団を入れて、掃除機で空気を抜いた「布団圧縮袋」のイメージですね。
ポイントは空気を抜くことで、気体の「熱伝導」が限りなく少なくなる為、他の断熱材に比べ、圧倒的に断熱効果が優れていることです。
欠点は真空パネルに穴が空くと中に空気が入ってしまい、真空断熱の効果を一気に失う事です。
穴が空いた場合の性能は、中の芯材によりますが、ほとんど発泡ウレタンなどと変わらなくなると思います。
あとは、値段が高い事ですね。
●発泡ウレタン
ウレタン樹脂に発泡剤を加えて作られたものです。
気泡の形で熱伝導率の低い空気を閉じ込めて断熱します。
クーラーボックスの断熱材は、液体のウレタン樹脂を流し込んでから熱を加えて発泡させます。
このため他の素材より隙間無く断熱材を詰める事が出来ます。
熱伝導率だけなら発泡スチロールとさほど変わりないのですが、気泡がより細かいのと成型するときの利点で、クーラーボックスの隅々まで充填することができるので、発泡スチロールより高い断熱効果があるようです。
欠点は発泡スチロールより重量がある事。
加水分解などにより、発泡ウレタンは成型した時点からどんどん劣化していく事です。
●発泡スチロール
ポリスチレンを気泡に含ませたもので、一般的に良く見かける断熱材です。
ちなみにスチロールはスチレンの別名です。
これも、空気を閉じ込める事によって断熱効果を発揮します。
成型しやくすく軽量であるのが大きな特徴です。
欠点は他の断熱材に比べると断熱効果が見劣りすることです。
それぞれの素材の大凡の熱伝導率(W/mK)は以下の通りです(数字が小さい方が熱が伝わりません)
真空パネル 0.002~0.004
発泡ウレタン 0.02~0.03
発泡スチロール 0.03〜0.04
見て解るように、真空パネルは他の断熱材の10倍ほどの断熱力があります。
発泡ウレタンと発泡スチロールには熱伝導率では大きな差はありませんが、隙間無く断熱材を充填出来る点が性能差として現れるようです。
クーラーボックスの性能は断熱材の「厚さ」と「大きさ」によって決まります。
「断熱材の厚さ」はそのままで、厚ければ厚いほど、熱が伝わり難くなります。逆に薄いと熱が早く伝わります。
「大きさ」は庫内の容積、つまり容量が「大きい方」が有利ということです。
というのは計算するとわかりますが、容積が2倍になっても表面積は2倍になりません(1.58倍くらい??)
容積が大きい方が、熱を吸収する外側の面積が少なくてすむので、自然、氷が長持ちします。
クーラーボックスは以上の点を踏まえて、用途や目的にあわせて性能が付与されています。
安さや軽さを追求すれば「発泡スチロール」を使ってコストダウンや軽量化を図るでしょうし。
お金に糸目を付けなければ大きくて重いクーラーボックスに真空断熱材を使って行けば良いわけです。
実際の製品でも、例えば「氷が溶けない」という「性能」だけを考えると、大容量で断熱材の分厚いクーラーボックスと言う事になります。
例えば、スノーピークの「ハードロッククーラー75QT」やコールマンの「エクストリームクーラー70QT」などは性能的に高い保冷力を誇りそうです。
ただ、大きいです。
70Lなんてデュオキャンプでは要らないでし、プジョーに載りません・・・・。
デュオキャンプで積載を圧迫せずに性能の良いクーラーボックス。
そうなると「真空パネル」を使っている小型(中型?)のクーラーボックスが威力を発揮します。
真空パネルという素材の優れている点は、発泡ウレタンと同等の断熱効果であれば1/10の厚さに出来る点です。
つまり、真空パネルが使われているクーラーボックスは「小型で高い保冷力をもつ製品」だと言えます。
そして、それを使っているのが釣具メーカーのクーラーボックスでした。
釣具の場合、釣った魚を保冷するのは勿論ですが、おそらく釣りをしながらの移動も考慮されています。
その辺がキャンプ用と設計の考え方の違いとして現れているようです。
私たちが選んだのはシマノ「FIXCEL LIMITED 300」でした。
※2024年現在、同等品は「フィクセル リミテッド 30L」になっています。
シマノのHPより
容量30L、3面真空パネル+発泡ウレタンのクーラーボックスです。
シマノの定めるクーラーの性能は「I-CE75h」だそうです。
シマノのクーラーボックスは独自の基準で「I-CE値」で表しています。
条件は32℃の外気温にクーラーボックスの容積の20%の氷をいれて24時間後に計測、そこから推測値で氷が完全に溶けるまでの時間だそうです。
「I-CE40h」だと中の氷が溶けきるまで40時間かかるという事です。
私たちの「FIXCEL LIMITED 300」はI-CE75hですので凍った2Lのペットボトル3本が全て溶けるのに3日かかることになります。
2泊3日ならこれだけで持ちます。
それ以上の連泊だと、そもそも冷やしておく食材を食べ尽くしてしまいますし、途中の買いだしで氷も買えば解決です。
実際、2泊3日の気温30度のキャンプの最終日にも中に氷が残りました。
つまり3日間冷え冷えでした。
前回の3泊4日のカンパーニャ嬬恋の帰りの写真です。
家に着いても持って行ったぺちゃんこ水筒の氷が残っていました。
ちなみにFIXCELシリーズの最高峰「FIXCEL PREMIUM 300」の場合、さらに15時間多い、I-CE90hです。
この性能の差をどう考えるかですが、お金に余裕があるならPREMIUMで間違いは無いと思います。
圧倒的な性能を確保するなら「フィクセルプレミアム」
実用域での財布とのバランスをとるなら「フィクセルリミテッド」だと思います。
楽天ショップ
シマノ(SHIMANO) NF-230V フィクセル リミテッド 30L ホワイト 817822
シマノ フィクセル ウルトラ プレミアム 30L ホワイト NF-030V (クーラーボックス 釣り 中型)
amazon
シマノ(SHIMANO) フィクセル リミテッド 30L NF-230V ホワイト
シマノ(SHIMANO) フィクセル ウルトラ プレミアム