雪のない始まり。消えた写真。エンゼルフォレスト那須白河 ① 〜小説編〜

zero21kei

2020年02月27日 12:04

こんにちは。Kです。


2020年2月22日〜24日の天皇誕生日とその振替休日の3連休。

福島県天栄村にある「エンゼルフォレスト那須白河」へ、ファミリーキャンプへ行って来ました。


エンゼルフォレストは、この時期「雪中キャンプ」が楽しめる場所です。

しかし今年は記録的な暖冬の影響で、出発前日のライブカメラの情報では、積雪は全くなしという状態でした。


しかも、速報記事で言ったとおり、キャンプ中にメインで使っていたコンデジの「SDカード」が壊れてしまいました。

帰宅後、パソコンなどで読み込みを試しましたが、全くカードを認識せず、アクセス不能の状態です。

お金をかければデータの復旧が出来るかも知れませんが、諦めてスマホなどで撮った数枚を使い、無くなった初日のレポートを書くことにしました。


ですので、今日のキャンプレポートは、いつものように「写真を主体に文章を添える」という方式で書けません。

そのため、写真の代わりに文章で「情景描写」を入れつつ、ちょっとした「旅行記」のような小説風の文章で記事を書いてみます。

ただ、あまりそっちに力を入れすぎると、写真のある後半と雰囲気が変わっちゃうので、「いつものレポート+α」という感じにしています。


ということで、プジョーでキャンプ初となる小説風のキャンプレポートです(笑)














プロローグ 〜天使の森との繋がり〜


ここ数年。夫婦でキャンプを始めてから、怒濤のように各地を転戦し続ける日々。

最初は何も知らない素人でしたが、キャンプへ行く度に新しい発見があり、本当に少しずつですが、色々な事を覚えました。

それは、キャンプ道具の知識に限らず、天候や地形などに合わせて、その時々で最適なキャンプをする為の大切なスキルなどです。

その甲斐もあり、ある程度の強さの風の中でもキャンプをこなし、例え雨の中でもそれなりに楽しめるようになました。


しかし、そうやってステップアップすればするほど、ちょっとしたインプットの違いによって、大きく結果が変わってしまう「キャンプ」という遊びの奥深さに魅了され、更なる深みへと填まっていくのでした。。。


そうして、通年でキャンプをする事が、自分たちのライフワークとなっていた数年前。

当時、そうしたなかでもまだ体験していないキャンプがありました。

それが冬キャンプの中でも、一番ハードルが高い、フィールドを覆い尽くした白銀に輝く雪の上でテントを張る「雪中キャンプ」でした。


雪の中で野営。


そう聞いただけで、わくわくすると同時に、本当にそんな事が出来るのかという不安がよぎる。


そんな憧れと、不安の狭間で、私たち夫婦は話し合い、例え雪が積もっていても、設備が整い安心してキャンプが出来る場所を探しました。

そして、色々な情報を集めた結果。初めての雪中キャンプの地として、白羽の矢を立てたのが、「エンゼルフォレスト那須白河」だったのです。


コテージが建ち並ぶ、リゾート地の片隅に切り開かれている。整備の行き届いたキャンプフィールド。

レジーナの森から運営会社が代わり、エンゼルフォレストとして新たに生まれ変わった、そのキャンプ場へ訪れたのは、2018年の1月の事でした。

その成人の日の3連休を利用した、2泊3日の雪中キャンプ。

そこで私たちが体験したのは、「過酷」という言葉とは真逆となる。温泉に浸かり、バイキングを楽しむ、寝る場所が雪に埋まったテントの中である以外、全てが完璧に整えられた「リゾートキャンプ」だったのです。




その強烈な印象が残ったキャンプから、2年の月日が経ちました。

その間、私たちには出産子育てというイベントがあり、家族での雪中キャンプはちょっとだけ遠のいてたのです。。。


そんな状況だった2019年の暮れ。一通の電子メールが私の元に届きました。

それは、当時の模様を綴った「ブログ記事」を見つけたエンゼルフォレストの広報の方からのメールです。


内容は、「当時の写真をキャンプ場のPRに使いたい」というオファーでした。


あの素晴らしいキャンプ場のPRにお役に立てるならと、何回かのメールでの遣り取りから写真を提供して、昨年末にポスターなどの広告が作られたのでした。








その縁があり、また、2年前に体験した「リゾートキャンプ」をもう一度してみたいと思い。年が明けた今回ついに再訪を決めました。


当時と違い、1歳9ヶ月になる「娘」を連れたファミリーキャンプという形で。。。。










出撃!!


テレビやネットで流れる週末の天気予報は、関東は土曜日に「春一番」となりかねない強い南風が吹くと言い、東北は日曜日に北海道の北で発達した強烈な低気圧の影響で、日本海側を中心に吹雪になると言います。

私たちの目指す「エンゼルフォレスト」は、那須高原の北端にあり、羽鳥湖という湖の近くにある土地です。

地名としては東北となり、冬型の気圧配置になると、強い北風が吹く所ですが、現地に問い合わせもして、テント泊は何とかなりそうだと言う事なので出撃を決めます。


ただ、風によってテントが揺れることを警戒して、オイルランプ系は全て置いて、明かりはLEDランプだけにしました。

あとは、現地に入ってから考えますが、臨機応変に対応するための方法はある程度準備をします。


天気予報では、土曜日は夕方から風が強まるそうですが、逆に午前中は嵐の静けさと言うのか、春を思わせる暖かな気温と、晴れ間が広がるようです。

であれば、わざわざ天気が悪くなる午後から設営するのでは無く、天気が良い午前中にテントを立て、強風に備えて頑丈に張り網をすれば良さそうです。

ということで、アーリーチェックインを目指して、7時前に静かに自宅を出発したのです。




最初は下道を走り、王子北ICで首都高速に乗り、そのまま首都高川口線、そして東北道に乗り北上します。

3連休の初日ですが、行楽シーズンとは違うためか、交通量は多くても、渋滞と呼べるほどの速度低下はなく、ある意味順調に走ります。


ただ、この「速度がコロコロ変わるトラフィック」というのが、突然前の車が減速したりするのでとても疲れます。

そういった「緊張感」もあり、疲れが出始めたので、車に乗ってから2時間が経過した9時に、上河内SAに滑り込みました。


どうせSAで休憩するならと、ここで朝食を取ることにしました。

正面ドアから入ってフードコートの1角を借り、そこで私たちの食事にうどんを注文。

娘には持ってきていた「幼児食」を与えます。


そして、最後に「オムツ交換」を済ませ、万全の体制で再出発をします。

ここから現地までは、1時間なので、なんとか予定の10時過ぎには到着できそうです。




その後は、東北道を那須高原スマートICで降り、白河市内をかすめるように、県道281号、そして天栄村へと続く、県道38号線の山道を登って行きます。

頭上には青空が広がり、森を抜け、美しい風景が広がる山道を順調に走っていきます。


2年前、ここを通った時は、雪でガチガチに覆われた雪道でした。





でも今回は、想像していた以上に「雪が無い」という状態です。

これは、少ないと言うレベルでは無く、日陰などにも残雪すら無い本当に皆無という状態。まるで葉が落ちたばかりの初秋の峠を走っているようです。


それは一番標高が高くなる峠にたどり着いても同じ状態で、結局、天栄村に入ってからも、快適なワインディングロードでのドライブとなったのです。。。









チェックイン


そして、10:30。無事に美しい人造湖が広がるエンゼルフォレストの敷地に到着します。

積もった雪に圧倒された2年前とは全く違う、小鳥が囀るのどかな風景。

雪キャンプの思い出の地で、同じ時期に雪が無いキャンプをするというのは、やはりちょっと寂しさを感じます。


娘を車から降ろし、家族3人でチェックインをするべく、駐車場から建物がある方へ向かいます。

ここは「愛犬と過ごせるリゾート」というのがテーマとなっているので、途中で愛犬を連れてのんびりと散歩する人たちとすれ違います。

「いぬだぁ!かぁいい!」

と叫びながら走り出しそうになる娘の手をしっかりと握り、受付のある建物へ入ります。


コテージの受付も兼ねているので、まるでホテルのフロントのような拵えの受付で、チェックインの手続きを行います。






※エンゼルフォレスト那須白河HPより

案内されたサイトは「502」という、南西の角にあるサイトです。

温泉などがある施設からは遠いですが、その代わり、サニタリーハウス(炊事場とトイレが一緒の建物)の隣なので、利便性は抜群です。


受付で、宿泊者カードに記入をしていると、今回メールで遣り取りしていた広報の方が、奥の事務室から表に来てくれました。

「雪中キャンプのPRだったんですけどねぇ。今年はこんな状況です」

優しそうな広報の男性は、挨拶をした後に、苦笑いをしながらそう言って外を見つめます。

その視線に誘われ管理棟にある大きな窓を見ると、キラキラと輝く湖と雪ひとつ無い美しいフィールドが見えていました。

「冬キャンフォトコンテストという企画もやっているので、是非参加して下さい」






そう広報の方がおっしゃる横には1枚のポスターがありました。

冬キャンプの魅力が伝わる画像。

「解りました。冬キャンプが伝わるような写真を頑張って撮ってみます」

そう答えました。

企画が意図する「冬キャンプの魅力」とは、多分雪中キャンプのことなのでしょう。

しかし、暖冬の猛威は、2月なのに春のように暖かく、爽やかに乾いたフィールドが広がっています。


冬キャンプ日和。

他の土地ならそう言って喜ぶような状況。

そう、今ここは間違い無く冬キャンプ日和です。。。















設営


502は、隣の501と、502に挟まれて、ちょっと奥まった所にあるサイトです。

アクセスの通路は車一台分の狭い通路ですが、サイトは大型のテントも張れる広いスペースが確保されています。

今回、最も強風が予想されているのは、日曜日に吹く、西北西の風です。

今回張る幕は、スノーピークのトルテュProにしました。

風に強いテントですが、横風を受けると怖いので、風が来る西側をお尻にして、設営を開始します。






晴れ渡り、春を感じさせる日射しは、気持ちが良いの一言です。

砂利が敷き詰められたフィールドで、aちゃんは石ころや「松ぼっくり」そして「どんぐり」などを集めて遊んでいます。

その横で司令官のように、方位磁石を見ながテントの向きを入念にチェックする奧さん。

その指示に従い、テキパキとテントを設営していきます。



「風速7m/s」

この時に一番風が強いという、日曜日の正午の予報がそれです。

天気予報の風速は、通常「10分間の平均風速」ですので、7m/sというのは、単純にその風が吹くわけでは無く、瞬間的には3倍の21m/s以上の突風が吹くこと意味しています。

以前、私たちの風予報の出撃判断基準は、6m/sとているという話をしました。

これは朝霧高原で経験した強風予報から導き出した、私たちの基準です。

今回、予報の基準はこれを上回っていますが、キャンプには一律の基準が有るわけでは無く、地形やその時の状況で色々な事が変化します。

キャンプをするのは自己責任と言いますが、その大きな理由はこの部分です。


自分で状況を判断してキャンプをする。


他の人がやっているからとか、キャンプ場が営業しているからではなく、キャンプは自分で全て決められるのが本来の良さです。

今回、私たちも自分でキャンプが出来ると判断して来ました。

その判断が、本当に正しいのかどうかは、今夜から明日にかけて、実際のキャンプの中で次第に証明されるはずです。


ただ、それは「運任せ」ということではなく、しっかりと出来る準備を行います。

いつもなら横着してあまりしっかり張らないストームガードを全て張り、「もうこれ以上ペグを打つ場所がない」というレベルでテントを立てます。

冬キャンプのトルテュProで必ず使う「クリアウォール」も、耐風性が弱いので装着せず、シールドルーフも風で飛ばされかねないので使いませんでした。

そして、トルテュは、スノーピークの説明書通りの完璧な張り姿となったのです。


しかし、そんなガチガチにビビった設営をあざ笑うような陽気が辺りを包んでいます。

気温も10度を軽く上回り、上着を着ていると汗ばむほどです。

テントを立て、ギアを並べ、薪ストーブを組み立てた所で、時刻は13時を回ります。



朝は軽くうどんを食べただけなので、流石にお腹が減ったのでここで昼食の準備を始めます。









お気に入りの昼食


最近スーパーへ行って見つけると「らーめん!!」と言って、目を輝かせて、勝手にカゴに放りこみ、お母さんに怒られてギャン泣きするのが日課になっているaちゃんには、特別に「カップラーメン」を与えます。





※日清食品のHPより

子ども用の優しい味付けで、大人用よりは少しだけ体に良さそうな、アンパンマンラーメンです。

これにお湯を注ぎ、3分待っている傍らでは、大人用に、生麺タイプの「つけ麺」を作ります。


つけ麺は、お湯で茹でた後、冷水で洗う必要がありますが、ここは先ほど言ったように「サニタリーハウス」の隣なので、とても簡単です。

ストップウォッチを使い、規定の4分で茹でると、ザルに入れて洗い場までダッシュ!

暖かいとは言え、高地でキンキンに冷えた冷水で麺を洗い、水切りをしながらサイトへ戻ります。


そして、温めたスープに長ネギとチャーシューをいれて頂きます。


うん。美味。


魚介系の出汁のスープに絡んだ麺は、設営で疲れた体にちょうどよい塩気があります。

春を感じるポカポカ陽気の屋外で食べるラーメンがどれだけ美味しいか。。。。


そのつけ麺のお供に用意したのは、もちろんアサヒビールの「KARAKUCHI」です。

美しく銀色に輝くドライなボディーは、本当に突き抜ける青空が似合います。



昼ご飯にラーメンとビール。


ダメ人間の王道メニューを最強のリゾートキャンプ場の片隅で食べる幸せ。

この一口のためだけでも、ここまで来た甲斐があるというものです。







昼下がりの散歩。。。


食後、テント内でパタパタと作業をしていた奧さんが、

「ちょっと洗い物に行きたいから、aちゃんの面倒見てくれる?」

と言いました。

ふと見ると、イスに座っているaちゃんは、すでにお腹いっぱいとなり、遊びたくてウズウズしています。

これは、突然やって来た娘とのデートタイム。それならばと、aちゃんに上着を着せて幕の外に出ました。


外用の遊び道具として持ってきたのは、ビールのオマケで付いていた小さなカゴです。

形はスーパーの買い物カゴに似ていて、大きさは350ml缶が6本入るサイズ。

これが1歳児の短い腕で持っても、カゴを地面に引きずることが無く、とても使いやすいのです。

これを渡すと、喜んで石ころだの松ぼっくりなどを拾ってきてはガンガン中に入れます。

エンゼルフォレストの雪の無いフィールドには、色々な物が落ちていて、aちゃんの宝探しには抜群のコンディションです。

折角なので、このままaちゃんを連れてフィールドを一回りしながら「宝集め」をすることにしました。





aちゃんにとって、エンゼルフォレスト那須白河は初めてですが、生まれる前をカウントするなら、2年前の初訪問時に奧さんのお腹の中にいました。

その時は、月齢6ヶ月くらいで安定期に入ったばかりの本当に小さな小さな命でした。

それが今。その時と全く同じ場所で「あ、どんぐりちゃん!!」と叫びながら、満面の笑みでどんぐりを拾い、走り回っています。


2年という時間は、大人にとっては「あっと言う間」と言っても良いくらい、すぐに過ぎ去っていきます。

しかし、この1歳児という時間を生きる娘は、つい先日ハイハイが始まったと言って喜んでいたら、あれよあれよと歩き出し走り出しました。

こちらから見えれば、まさに目にもとまらぬ早さで成長してきますが、当の本人はニコニコと、当たり前のように日々を過ごしています。

であれば、この感覚の違いは娘との「時間の長さ」の違いなのでしょう。

だとしたら、娘が生きている時間の密度とは、一体どのくらいなのでしょうか?


親がテントを立てるとペグ打ちの真似事をして、褒められたら嬉しくて嬉しくてしょうがない。

その動作はほんの数分ですが、彼女の中のそういった時間は、おそらくとてつもなく長く貴重なものなのだと思うのです。

その大切な彼女の時間の中で、こうやって親子2人で森の中をどんぐりを探しながら歩いて行く。。。


キラキラと輝く太陽の木漏れ日の下。

何個か拾うと立ち止まり、カゴの中に沢山ある「どんぐり」の中からいくつか選別して投げ捨てる。

そして、また「どんぐり」を拾いカゴに入れ、また捨てる。

いったいどんな基準で選んでいるのかは、大人の思考ではもはや想像がつきません。

でも、もう忘れ去ってしまいましたが、とても昔に、大人には解らない基準で生きていた自分がいたような気にもなります。


それが今の娘と同じかどうかは、確かめる術がありませんが、そんな娘の姿を見守りながら、ファミリーキャンプの素敵な時間というのは、まさにこの一瞬のことを指すのだと思うのでした。。。







温泉へ。


通常より2時間強ほど早いだけですが、午前中にチェックインをすると、キャンプの1日の時間はとても長く感じます。

設営を終え、ご飯を食べ、お散歩しても、まだ夕食まで時間があります。

このキャンプ場の最大の魅力は、設営前から、設営後まで、宿泊さえすれば、いつでも入れる「温泉」がある事です。

今時の日帰り温泉は、1回入るだけで1000円近く取られる事を思うと、このシステムは最高のコストパフォーマンスと言えます。

ということで、夕方までの時間、3人でひとっ風呂浴びることにします。


ただ、16時に近くなるこの頃になると、雲が湧き、曇天となり、いまにも雨が降り出しそうな天気に変わりました。

そんななか、温泉の建物まで行き、男湯と女湯で別れます。






※エンゼルフォレスト那須白河のHPより

ここのお風呂は、とても広い内風呂が1つ。






※エンゼルフォレスト那須白河のHPより

そして外には通常の露天風呂と、その時々で変わる企画風呂が1つ。

そして源泉掛け流しの壺風呂があります。

さらにタイプが違う2種類のサウナがあり、温泉施設としては申し分無い施設です。


さらに、冬場はクローズしてしまいますが、水着では入れる混浴の露天風呂スペースや、温水プールもあり、このレベルの施設に、キャンプ中何度も入れると言うのは最高です。

いつもなら、時間を決めてさっさっと入って終わる事が多くなっていますが、今回は全く時間の制約が無いので、タップリと1時間かけてお湯やサウナに入ります。

体の芯まで温まり、リフレッシュして外に出て、奧さんと娘と落ち合ったのは17時頃。


帰りに薪を2束ほど買い、風が吹き始めたフィールドを歩き、サイトへと戻ったのです。







強風と夕食。


日が落ちて夕闇が迫ってくると、それを待っていたかのように、風が辺りを吹き抜けるようになります。

ゴーーーーーー。という音が聞こえ、辺りの木々がワサワサと揺れます。

ただ、地形の影響なのか、風は感覚ですが、高さにすると二階の屋根くらいの所を通り過ぎて行くような感じです。

もちろん強い風が来ると、テントも多少は揺れますが、今のところ大きな影響はありません。


日が落ちてからは、10℃を越えていた外の気温もグッと下がります。

といっても、5℃くらいと真冬としては暖かい方です。

しかも、幕内ではトヨトミの石油ストーブがすでに赤々と燃えています。

その真っ赤になった燃焼筒からは、赤外線が出ていて、空気を暖める温度以上に温もりを感じます。


さらに、強風対策でバッチリと固定した「Fbストーブ・NEO」にも火を入れます。

燃焼室の扉を開けて、中に着火剤の文化焚きつけを1本入れ、その上に小割にした杉の木を数本並べます。

その上に、燃料の本体となる先ほど買った「広葉樹の薪」を1本置いたら、着火剤にライターで火を付けると、ぱっと炎が出て、メラメラと燃え始めます。

その炎が燃えやすい杉の木に移り、暫く待つと広葉樹の薪にちょっとずつ燃え移って行きます。


火を付けた当初は、温度が低くモクモクと煙を吐いていた煙突も、広葉樹が燃え出す頃には十分に温度が上がり始め、煙突からは煙が殆ど見えなくなります。

そして待つこと15分くらい。最初の薪の炎がまだ出ている間に数本の薪を足します。

新しい薪を入れると、一時的に、燃焼室の温度が下がり、炎が消えかけますが、扉を閉めて暫く待つと再度温度があがり、パッっと炎が出てきます。

ここまで行けば、最初の薪の熾火に変わり安定するので、あとは細かい事を気にせず、薪をどんどん追加していくだけとなります。




こうして、耐熱窓から見える薪がメラメラと勢い良く燃え出すと、Fbストーブの天板は、400℃を軽く超えます。

この天板の熱を利用して、今夜のメニューとなる「餃子鍋」をつくります。

といっても、切った野菜を鍋に入れ、ガラスープを入れてクタクタに煮込むだけです。

野菜が煮えたら、水餃子を入れて出来上がり。

今回は、夕方から風が強いという予報なので、そちらに対応出来るように凝った料理にせず、餃子鍋と、焼売などの点心盛り合わせにしました。


お酒で乾杯をして、家族で鍋を突きます。

クタクタになった野菜は甘みを増し、ちょっとだけ柚の風味がある餃子と一緒に食べるととても美味しいです。

aちゃんもシェラカップに入れて人肌まで冷まして貰った同じメニューを、ぎこちない手つきでフォークを使い、一生懸命口に運んで食べています。


お腹が膨らんで満足すると、昼間いっぱい遊んだaちゃんは眠くなってグズり出します。

「眠たいの?ねんねする?」

奧さんがそう訪ねると。

「ねむたーい」

と、訴える娘。

奧さんは娘を抱えるとインナーテントへ連れて行き、着替えさせてシュラフに転がして添い寝します。

最初はちょっとだけもぞもぞと動いていましたが、数分後にはスヤスヤと寝息を立てて眠りに落ちたのです。


そうやって、娘を寝かしつけした頃から、風の勢いがどんどん増していきます。


ヒューヒューという風の音は夕方よりも大きくなり、ギシギシと揺れる辺りの木々もフィールドの全体に広がります。

そんな風の強さは一定では無く、時折襲いかかって来るのが、大きな空気の固まりがぶつかるような激しい突風です。



例えば、風速25m/sという風は、時速に直すと、90km/hとなり、高速道路を走る車と同じくらいのスピードです。

数キロ先からの音が聞こえ始めても、その空気の固まりが自分たちの場所までやって来るのは、思ったよりも時間がかかります。

しかし、そこにある「間」こそがが恐怖心を煽るのです。


ゴゴゴゴゴゴっと、地鳴りのような轟音が次第に大きくなり、その風で揺さぶられる木々が軋みだす音が遠くから聞こえてくる。

最初は小さく、まだ遠くに居るのが解りますが、音が大きくなるにつれて、自分たちがいる場所へ真っ直ぐに突き進んでいることが解ってきます。

しかし、それを待つテントの中では、風がぶつかる瞬間まで、なにも為す術は無く、ただじっと息を殺して待つしかないのです。


そして、地鳴りのような轟音がピークを迎え、目鼻の先まで近づいたと思った刹那!

ババーーーーンという耳を切り裂くような破裂音がしてテント全体が激しく動揺します。

そして、テントの隙間から冷たい冷気が入り込み、パネルやスカート類がバタバタと震え、吊していたギアがカラカラと音を立てて揺れるのです。


風はその後、ドップラー効果で音程を変えながら、私たちの所を離れ、遙か彼方へと過ぎ去ってゆくのです。。。





そうやって、何度かの突風のような強い風が吹き抜けると、フィールドに散らばっているテントから、カンカンカンカンというペグ打ちの音が鳴り響き出します。

風に煽られるようになり、キャンパー達がテントの補強を始めたようです。


ただ、私たちのサイトは地形なのか、はたまた立木の並びの影響なのか、音は大きくてもテントが大きくグラグラと揺れるような風は当たりません。

さきほど寝付いたaちゃんも、轟々と言う音がする中で、スヤスヤと寝息を立てて寝ています。


どうやら、風の影響は思っていたよりは小さく済みそうです。


しかし、どちらにしろ強風が頭上を駆け抜けるキャンプ。





幕の外は、強い風に飛ばされた雲の隙間から、星空が輝いて見えていました。






凄いスピードで流れてゆく雲と、姿を見せたり消したりと忙しい星々。

それをカメラで撮ってみますが、突風に煽られて三脚が揺れてしまい、なかなか写真が撮れません。

何枚かチャレンジして、上手く撮れるのは数枚。

部活動をするには最悪のコンディションです。






そんな中でも、就寝前の23時頃になると、炊事棟の電気が消えて、フィールドは闇に包まれます。

その分星は輝きますが、流れる雲の次第に多くなり、星空を収める事ができません。






風にゆれる木の枝はスローシャッターで撮る写真ではぼやけて見えます。

予報では、風は明日の夜の方が弱く、晴れるようなので、しっかり写真を撮るのは明日の方が良さそうです。

こうして写真を諦めて眠りにつく前。

幕の外で最後に見た景色は、このような風と雲と星が織りなす乾いた冬のはずだったのです。。。。





つづく。。。。



続きの記事はこちら

2020/02/29
こんにちは。Kです。エンゼルフォレスト那須白河でのキャンプの続きです。夕方から風が吹き、荒れた天気となった夜。何度か風の音で目が覚めます。その時、微かに聞こえたのは、幕を叩く雨の音。そうか、とうとう雨まで降り出しちゃったのか。。。。雪国暴風…





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