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プジョーでキャンプ

家族3人でプジョーのSUVに乗ってキャンプしてます。

卒業式と古文の話。

こんにちは。Kです。


暦も3月に入り、日中の気温も「春の陽気」を感じるようになってきました。

「キャンプ」はいよいよ、本格的に「春キャンプ」へ移行していきますね。


それと同時に、この季節。

学校では「卒業式」のシーズンです。


現在の「卒業式」では、ほとんど歌はないのかもしれませんが、私たちの時代の「卒業式」で歌う歌といえば、まず「仰げば尊し」でした。

卒業式と古文の話。

仰げば尊し わが師の恩
教えの庭にも はやいく幾年(とせ)
思えば いととし この年月(としつき)
今こそ 別れめ いざさらば

互に睦(むつみ)し 日ごろの恩
別るる 後にも やよ忘るな
身を立て 名をあげ やよ励めよ
今こそ 別れめ いざさらば

朝夕なれにし 学びの窓
蛍の灯火(ともしび) 積む白雪(しらゆき)
忘るる まぞなき ゆく年月
今こそ 別れめ いざさらば



これを「卒業式」の時に歌って、涙を流した思い出がある「昔のヤング」は多いと思います。


ただ、この歌詞。

よく読んでみると、言い回しが不自然で「意味」が解りにくい文章ですよね。

それもそのはずで、この歌詞は「文語文」、つまり「古文」に分類される文章だからです。



「仰げば尊し」は1884年(明治17年)に発表された唱歌だそうで、時代で言うと「明治」ですが、まだまだ「江戸時代」の雰囲気が色濃く残っていてた時期の作詞です。

今のように、「はなし言葉(口語)」と「文章」が同じになるのは、もう少し後年、二葉亭四迷などが始める「言文一致運動」の後の事です。

そして、私たちが使うような文章は、「仰げば尊し」が作詞された21年後の1905年(明治38年)、文豪、夏目漱石による「吾輩は猫である」の発表を待たなければなりません。(えっと、諸説あります・・)



ということで、メロディーにのせるとサラッと歌える「仰げば尊し」ですが、その歌詞は「古文」です。

そして、古文がゆえに、現代では、その本来の意味を「誤解」されている歌詞でもあります。


と言う事で、今回は「仰げば尊し」にまつわる、その「誤解」を紐解いてみたいと思います。


※今回の記事はキャンプとは全く関係ない内容です。








いととし


まずは、「仰げば尊し」が「古文」であることを確認してみましょう。

それは一番の歌詞にある、「思えばいととし」の「いととし」が、とても良い例になると思います。

歌ってしまうとすんなりですが、意味を考えると「あれ? いととしって何だろう?」と、なりますよね(笑)



「いととし」は分解すると「いと」と「疾し」です。


「いと」は「大変・非常に」という意味の「副詞」で、有名な清少納言の「枕草子」に頻出する「いとをかし」の「いと」ですね。

「いと」は古文の「代表選手」のよう存在なので、これで、仰げば尊しが「いと古文」であることが納得できると思います(笑)


また「疾し(とし)」は「形容詞」で、漢字を当てると解りやすくなりますが、「疾風」の「疾」であるように「早い」という意味の古語です。


ですので、「思えば いととし」は、現代語訳をすると「思えば とてもはやい」という意味を持つ文章なのです。









別れ目


で、「仰げば尊し」が「古文」だと証明できたところで、今回のメインテーマの「誤解」についてです。

それが、この歌の一番の聞かせどころ、つまりサビの部分にある、「今こそ 別れめ」です。


「別れめ」は普通に解釈すると、「卒業してそれぞれが別の道を歩き出す」と言う意味を持つ「別れ目(分かれ道)」という意味にとれます。


というより、この解釈が今では一般的ではないでしょうか?


しかし、この歌詞は、古文なので、この解釈は間違いで、「別れめ」はひとつの名詞としての「別れ目」ではありません。


では、どういう意味かというと、そのヒントが「今こそ」の「こそ」にあります。









係り結び


古文の授業の時「係り結び」という言葉を習った記憶があるでしょうか?

「係り結び」とは「ぞ・なむ・や・か・こそ」という「係助詞(けいじょし)」が付くことにより、その文末の活用が変化しするものを言います。

ちなみに、「ぞ・なむ・こそ」が強調表現、「や・か」が疑問表現です。


そして、この「係助詞」を使った結びの「終止形」の変化は、「こそ」の場合は「已然形」になり、それ以外は全て「連体形」になります。


と、「この説明」を読んで解るように、文法の話はとても「難しくなる」ので、この辺りで当時、「古文の授業」を投げ出した方が多いと思います。



で、話を戻すと、さきほどの「今こそ」の「こそ」が、この係り結びの「係助詞」なのです。

ですので、「今こそ 別れめ」の元の文章を終止形で言うと「今 分かれむ(ん)」になります。


これを「強調」するために係り結びの「こそ」が付き、最後の助動詞「む(ん)」が已然形の「め」に変化しています。



ということで、「今こそ 別れめ いざさらば」は現代風に翻訳すると。


今、別れよう! では、さようなら!!」(強調表現を!にしてみました)


って感じですね。





誤解の原因は、「係り結び」自体は現代語から消えてしまいましたが、「明日こそがんばろう」のように「こそ」の強調表現は現代でも残っています。

そのため、「今こそ」はそのまま読めるので、逆に「別れめ」が宙ぶらりんとなり、「別れ目」と置き換えられて解釈されたのだと思います。





仰げば尊し



その歌詞は、「卒業という分かれ道で、悲しみながら別れを告げる」という事ではなく。

作詞者が強調表現である「こそ」を込めたように、卒業生全員で、

前向きに未来へ歩きだす事を高らかに宣言する歌

だったのです。















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コメント
こんにちは
自慢じゃないですが私高校の時古文だけは成績良かったんですよ。

まー 言っちゃーなんですがクラスでもいつも上位でしたよ。(^_-)
(もっとも ばか 高校だったんで一般レベルではたぶん大したことないでしょうが・・・)

その後年とともに古文なんて全く解んなくなってしまいましたが

”ぞ なむ や か” 連体形 ”こそ” 已然系 だけは今でも頭から離れませんね。 (^o^)

shoroushorou
2018年03月02日 12:28
こんにちは。
古文は苦手でしたが、すごく懐かしいですね~
係り結び、中学のときに習った記憶があります。
已然、連用、終止、連体、っていうリズムが忘れられないです^^;
そういえば、予備校時代にすごい人気の古文の講師がいたな~
授業は毎回満員御礼で、席を取るのに1,2時間並んでました。
今はもう忘却の彼方・・・

T&MパパT&Mパパ
2018年03月02日 13:04
こんにちは~

「仰げば尊し」懐かしいですねぇ。
意外とあのメロディー好きなんですよね。

卒業式つながりで、
鶴巻の挨拶を思い出しちゃいました(笑)

taku-ctaku-c
2018年03月02日 14:54
shorouさん。こんにちは。

古文得意でしたか。
私は文法は苦手でしたが、読解問題は、文章を勢いで読めるので得意でした(笑)
「ぞなむやかこそ」
なんとなく頭の片隅に残ってますよね。

zero21keizero21kei
2018年03月02日 18:08
T&Mパパさん。こんにちは。

この手のはリズムや語呂で覚えるので、なんとなく忘れませんよね。

語呂と言えば、理科で、「火成岩と火山岩」の覚え方ってのがありました。
「リカちゃん焦ってゲロ吐いた」
ってやつなんですが、知ってる人いるのかな?

zero21keizero21kei
2018年03月02日 18:14
taku-cさん。こんにちは。

今の学校ではほぼ歌わないそうですね。仰げば尊し。
蔓巻公園の時、「長渕剛」じゃなくて「仰げば尊し」をかければ良かったかな?(笑)

zero21keizero21kei
2018年03月02日 18:17

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