写真 「レジェンド・オブ・デジカメ ⑤ ~帝国の逆襲~」全7話
Sep 20 , 2016
こんにちは。Kです。
本来なら月曜の予定のデジカメシリーズです。
しかし、昨日は新潟「スノーピークヘッドクオーター」の雨撤収&渋滞で疲れてしまい家に帰ってすぐ寝てしまいました。
すみません。。。
さあ、お話はいよいよ「デジカメ」の技術発展が一番盛り上がった2000年前半です。
この時はまだ「フィルム」が王座に君臨していましたが、ベテランのフォトグラファーが日々性能を上げるデジカメに対して、最初は余裕をもって、次第に苦しく、最後は泣きながら、フィルムの良さを語っていた時代です。
(フィルム愛好家の人がいたらごめんなさい。)
今回はこの時期、カメラ業界の雄、「キヤノン(小さい「ャ」じゃないですよ)」が時代を築いていくお話です。
前回の記事
一眼レフデジタルカメラの一番の課題は「センサーの大きさ」です。
小さければ小さいほど良く、ピントは背面の液晶画面で確認できるコンシューマーデジタルカメラと違い、一眼レフカメラは「光学ファインダー」でピントを合わせるため、それなりのセンサーサイズが必要です。
(※光学ファインダーは受像部と同じ大きさの絵がファインダーに映ります)
例えば、コンシューマーモデルでよく使われるセンサーサイズで「1/2.5インチ」というのがあります。
これは「mm」になおすと「5.7mm x 4.3mm」です。
そんな豆粒のような画像をファインダーで覗きながらピントを合わせるなど無理な話で、一眼レフには、せめてAPSーCの「23.4mm x 16.7mm」の大きさが欲しいところです。
同じデジタルカメラでもハイエンド機種の開発がメーカーにとって大変なのはこの「大型センサー」の開発につきるのです。
カメラ業界が「Nikon D1」の登場に震撼したほぼ1年後の2000年9月、エレクトロニクスにも定評のある「キヤノン」はハイアマチュアモデルとしてAPS-Cサイズで311万画素の自社開発センサーを搭載する「EOS D30」を35万円で発売します。
一眼レフデジカメの価格としても驚きですが、このカメラが驚愕を与えたのは、当時、電子制御が難しく、画質が悪いため「デジタルカメラには使えない」と思われていた「CMOSセンサー」を自社開発して投入したことです。
しかも「EOS D30」の画質は当時の機種としては十分通用するレベルでした。
プロのフォトグラファーの中でもこの「EOS D30」や後継の「EOS D60」を仕事で使う人が結構いたと思います。
しかし、そうはいっても「ハイアマチュアモデル」でプロのフォトグラファーが納得するはずもなく、プロユースに耐えられる「EOS-1」ボディベースのデジタルカメラの要望が高まります。
そして2001年12月、デジタルカメラとして始めて「カメラグランプリ」を受賞することにもなった「EOS-1D」がデビューします。
(キヤノン HPより)
「EOS-1D」はまさに多くのフォトグラファーが望んだデジタルカメラとして、定価68万円でありながら、喝采を浴びて受け入れられます。
「EOS-1D」は415万画素のセンサーの大きさもさることながら、「EOS D30」で掴んだ信頼と「EOS 1」というボディに対するブランドが多くのフォトグラファーを満足させたのです。
当時、「EOS-1D」と「MacBook」で颯爽と写真を撮るフォトグラファーは技術の最先端の「シンボル(象徴)」として、特に若いクライアントに強いインパクトを与えました。
それはつまり、それ以前の「ポラを撮って確認して、写真を撮って現像して・・・・」というフィルムでの仕事のやり方そのものが「旧態依然」という烙印を押された事を意味します。
ただ、商業的には成功を収めた「EOS-1D」はその栄光とは裏腹に、キヤノンの開発の歴史のなかでは「亜種」であった可能性が高いと思います。
と言うのは「EOS-1D」の心臓部のセンサーが「他社製」の415万画素「CCDセンサー」だからです。
キヤノンは「EOS D30」から現在の「EOS 5D MarkⅣ」に至るまで、一貫して自社開発の「CMOSセンサー」を使っています。
しかし「EOS-1D」だけが唯一、他社製の、それも「CCDセンサー」を搭載した機種なのです。
それは開発の流れから見るとあまりにも「不自然」な存在です。
これは勝手な推測ですが、おそらくキヤノンの本命はこの一年後、2002年に発売された「EOS-1Ds」という「35mmフルサイズ・CMOSセンサー」を搭載したモデルです。
そして、おそらく本来ならこれが「EOS−1D」だったはずです。
しかし「EOS-1Ds」開発が遅れたのか、ニコンが「Nikon D1」の改良機を発売して攻勢を強めていたからか解りませんが、「EOS-1Ds」の完成以前にどうしてもプロユースの機種が必要になり、苦肉の策として生まれたのが「EOS-1D」のような気がします。
しかし、メーカーの思惑はどうであれ「EOS-1D」は間違い無く大成功をおさめ、続く「EOS-1Ds」によって「EOSデジタル」は「プロユース=キヤノン」という絶対的な「ブランド」を築くことになり、その「帝国」は全盛時代を迎えるのです。
つづく
次の記事
本来なら月曜の予定のデジカメシリーズです。
しかし、昨日は新潟「スノーピークヘッドクオーター」の雨撤収&渋滞で疲れてしまい家に帰ってすぐ寝てしまいました。
すみません。。。
さあ、お話はいよいよ「デジカメ」の技術発展が一番盛り上がった2000年前半です。
この時はまだ「フィルム」が王座に君臨していましたが、ベテランのフォトグラファーが日々性能を上げるデジカメに対して、最初は余裕をもって、次第に苦しく、最後は泣きながら、フィルムの良さを語っていた時代です。
(フィルム愛好家の人がいたらごめんなさい。)
今回はこの時期、カメラ業界の雄、「キヤノン(小さい「ャ」じゃないですよ)」が時代を築いていくお話です。
前回の記事
2016/08/22
2016/08/29
2016/09/05
2016/09/12
第5話 レジェンド・オブ・デジカメ ⑤ ~帝国の逆襲~
一眼レフデジタルカメラの一番の課題は「センサーの大きさ」です。
小さければ小さいほど良く、ピントは背面の液晶画面で確認できるコンシューマーデジタルカメラと違い、一眼レフカメラは「光学ファインダー」でピントを合わせるため、それなりのセンサーサイズが必要です。
(※光学ファインダーは受像部と同じ大きさの絵がファインダーに映ります)
例えば、コンシューマーモデルでよく使われるセンサーサイズで「1/2.5インチ」というのがあります。
これは「mm」になおすと「5.7mm x 4.3mm」です。
そんな豆粒のような画像をファインダーで覗きながらピントを合わせるなど無理な話で、一眼レフには、せめてAPSーCの「23.4mm x 16.7mm」の大きさが欲しいところです。
同じデジタルカメラでもハイエンド機種の開発がメーカーにとって大変なのはこの「大型センサー」の開発につきるのです。
カメラ業界が「Nikon D1」の登場に震撼したほぼ1年後の2000年9月、エレクトロニクスにも定評のある「キヤノン」はハイアマチュアモデルとしてAPS-Cサイズで311万画素の自社開発センサーを搭載する「EOS D30」を35万円で発売します。
一眼レフデジカメの価格としても驚きですが、このカメラが驚愕を与えたのは、当時、電子制御が難しく、画質が悪いため「デジタルカメラには使えない」と思われていた「CMOSセンサー」を自社開発して投入したことです。
しかも「EOS D30」の画質は当時の機種としては十分通用するレベルでした。
プロのフォトグラファーの中でもこの「EOS D30」や後継の「EOS D60」を仕事で使う人が結構いたと思います。
しかし、そうはいっても「ハイアマチュアモデル」でプロのフォトグラファーが納得するはずもなく、プロユースに耐えられる「EOS-1」ボディベースのデジタルカメラの要望が高まります。
そして2001年12月、デジタルカメラとして始めて「カメラグランプリ」を受賞することにもなった「EOS-1D」がデビューします。
(キヤノン HPより)
「EOS-1D」はまさに多くのフォトグラファーが望んだデジタルカメラとして、定価68万円でありながら、喝采を浴びて受け入れられます。
「EOS-1D」は415万画素のセンサーの大きさもさることながら、「EOS D30」で掴んだ信頼と「EOS 1」というボディに対するブランドが多くのフォトグラファーを満足させたのです。
当時、「EOS-1D」と「MacBook」で颯爽と写真を撮るフォトグラファーは技術の最先端の「シンボル(象徴)」として、特に若いクライアントに強いインパクトを与えました。
それはつまり、それ以前の「ポラを撮って確認して、写真を撮って現像して・・・・」というフィルムでの仕事のやり方そのものが「旧態依然」という烙印を押された事を意味します。
ただ、商業的には成功を収めた「EOS-1D」はその栄光とは裏腹に、キヤノンの開発の歴史のなかでは「亜種」であった可能性が高いと思います。
と言うのは「EOS-1D」の心臓部のセンサーが「他社製」の415万画素「CCDセンサー」だからです。
キヤノンは「EOS D30」から現在の「EOS 5D MarkⅣ」に至るまで、一貫して自社開発の「CMOSセンサー」を使っています。
しかし「EOS-1D」だけが唯一、他社製の、それも「CCDセンサー」を搭載した機種なのです。
それは開発の流れから見るとあまりにも「不自然」な存在です。
これは勝手な推測ですが、おそらくキヤノンの本命はこの一年後、2002年に発売された「EOS-1Ds」という「35mmフルサイズ・CMOSセンサー」を搭載したモデルです。
そして、おそらく本来ならこれが「EOS−1D」だったはずです。
しかし「EOS-1Ds」開発が遅れたのか、ニコンが「Nikon D1」の改良機を発売して攻勢を強めていたからか解りませんが、「EOS-1Ds」の完成以前にどうしてもプロユースの機種が必要になり、苦肉の策として生まれたのが「EOS-1D」のような気がします。
しかし、メーカーの思惑はどうであれ「EOS-1D」は間違い無く大成功をおさめ、続く「EOS-1Ds」によって「EOSデジタル」は「プロユース=キヤノン」という絶対的な「ブランド」を築くことになり、その「帝国」は全盛時代を迎えるのです。
つづく
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2016/09/26
コメント
こんにちはー
Naopion夫です。
少しですがカメラもやっているので、いつも楽しみに購読してます(笑)
デジタル一眼の歴史とても興味深いですね!個人的にはPENTAXが好きなんですが、今は持ち運びに便利なsonyのAPS-C使ってます。
今や嫁の方がカメラ(特に単焦点)に夢中ですが、、
PENTAXのフルサイズ出たので気になってますが、今更レンズを買い換える体力もなく。。
まだまだ素人の域をでませんが、
今度撮影のポイント教えて下さい!
(プロに向かって烏滸がましいですね^_^;)
また次号たのしみしてます!
Naopion夫です。
少しですがカメラもやっているので、いつも楽しみに購読してます(笑)
デジタル一眼の歴史とても興味深いですね!個人的にはPENTAXが好きなんですが、今は持ち運びに便利なsonyのAPS-C使ってます。
今や嫁の方がカメラ(特に単焦点)に夢中ですが、、
PENTAXのフルサイズ出たので気になってますが、今更レンズを買い換える体力もなく。。
まだまだ素人の域をでませんが、
今度撮影のポイント教えて下さい!
(プロに向かって烏滸がましいですね^_^;)
また次号たのしみしてます!
こんにちは。
このシリーズ、うちの奥さんには「難しくてつまんない」と言われて肩身の狭い思いをしていました。
しかし、ここに来て購読者がいる事が解り、少しずつ、数的有利を築きつつあります(笑)
(コメントありがとうございます)
PENTAXいいですね。
このシリーズではあえてキヤノンとニコンに絞ってますが、ほんとうは、コニカミノルタ(現在はソニー)や富士フイルム、ライカなど素敵なカメラを作るメーカーはあります。
あと、ブログを拝見させて貰ってますが、明るい単焦点レンズ使っているのですね。
写真がほんと素敵です。
私はスタジオで撮影することが多いので、ライティングなどならちょっと記事にできるかもしれませんが、専門的過ぎて完全アウトドアブログ向きではなくなってしまいそうです。。。。。。
でも、いろいろ考えて、カメラの記事はこのシリーズが終わっても続けていこうと思ってます。
このシリーズ、うちの奥さんには「難しくてつまんない」と言われて肩身の狭い思いをしていました。
しかし、ここに来て購読者がいる事が解り、少しずつ、数的有利を築きつつあります(笑)
(コメントありがとうございます)
PENTAXいいですね。
このシリーズではあえてキヤノンとニコンに絞ってますが、ほんとうは、コニカミノルタ(現在はソニー)や富士フイルム、ライカなど素敵なカメラを作るメーカーはあります。
あと、ブログを拝見させて貰ってますが、明るい単焦点レンズ使っているのですね。
写真がほんと素敵です。
私はスタジオで撮影することが多いので、ライティングなどならちょっと記事にできるかもしれませんが、専門的過ぎて完全アウトドアブログ向きではなくなってしまいそうです。。。。。。
でも、いろいろ考えて、カメラの記事はこのシリーズが終わっても続けていこうと思ってます。
Kさん
そうなんですよ〜。
被写体がクローズアップされますし、素人でも良さげに写る単焦点を嫁が好んで使ってます(笑)
昔使っていたPENTAXの単焦点は、ふんわりとまどろむ?ような感じで、これがまた素敵でしたo(≧▽≦)o
そうなんですよ〜。
被写体がクローズアップされますし、素人でも良さげに写る単焦点を嫁が好んで使ってます(笑)
昔使っていたPENTAXの単焦点は、ふんわりとまどろむ?ような感じで、これがまた素敵でしたo(≧▽≦)o
最近はPanasonicのミラーレスばかりですが、一眼レフを使う時はツァイスの50mmの単玉を愛用してます。
マニュアルフォーカスですが、写真の立体感や描写は他のレンズには無い存在感があります。
カメラ本体ってギミックがいっぱいあって色々迷いますが、写真の「絵」の善し悪しを根本的に左右するのは「レンズ」なんですよね。
マニュアルフォーカスですが、写真の立体感や描写は他のレンズには無い存在感があります。
カメラ本体ってギミックがいっぱいあって色々迷いますが、写真の「絵」の善し悪しを根本的に左右するのは「レンズ」なんですよね。
D30は私が初めて購入したデジ一眼です。APS-Cだったので、銀塩時代から使っていた28-70mm F2.8Lの焦点が使いづらくなってしまい、大変な苦労して24-70mmに買い換えました。
やっぱり銀塩と比べるとファインダーが見づらくてAPS-Cの印象が悪くてその後
初代5Dに移行しました。もしD30の印象が良かったら今でもAPS-Cで撮ってたかも知れないです。
P.S.
私もCarl Zeiss Planar T1.4/50 持ってますよ。ただ使い道が見つからないままお留守番が多いですが。。。
やっぱり銀塩と比べるとファインダーが見づらくてAPS-Cの印象が悪くてその後
初代5Dに移行しました。もしD30の印象が良かったら今でもAPS-Cで撮ってたかも知れないです。
P.S.
私もCarl Zeiss Planar T1.4/50 持ってますよ。ただ使い道が見つからないままお留守番が多いですが。。。
へりさん
D30使われていたのですね。
この時代のカメラはフィルムに比べて画質は1つ2つは劣っていました。
特にラチチュードが狭く、CCDの特性でハイライトが破綻しやすかったのでライティングで苦労した思い出があります。
APS-Cは小さいです。
私は仕事でハッセルブラッドなどの中判のカメラにデジタルバックを装着して使っています。それに比べるとEOS−1Dのファインダーを見たときは驚きました(笑)
D30使われていたのですね。
この時代のカメラはフィルムに比べて画質は1つ2つは劣っていました。
特にラチチュードが狭く、CCDの特性でハイライトが破綻しやすかったのでライティングで苦労した思い出があります。
APS-Cは小さいです。
私は仕事でハッセルブラッドなどの中判のカメラにデジタルバックを装着して使っています。それに比べるとEOS−1Dのファインダーを見たときは驚きました(笑)