写真 「レジェンド・オブ・デジカメ ④ ~Dの衝撃~」全7回
Sep 12 , 2016
こんにちは。Kです。
デジカメの歴史シリーズの4回目です。
90年代中頃、一眼レフデジカメは200万円する信じられないほどの超高級品でした。
これでは一眼レフデジタルカメラは一般を含めて普及する状況ではありません。
199X年、そこに登場したあるカメラを契機に「ハイエンドデジタルカメラ」はカメラ業界を席巻していきます。
前回の記事
1999年9月、アンゴルモアの大王が降臨して2ヶ月が経つ頃、ニコンは意欲的な一眼レフデジタルカメラを発売します。
「Nikon D1」です。

※wikipediaより
「Nikon D1」はニコンのフラッグシップのフィルムカメラモデル「Nikon F5」のボディをベースに開発された有効画素数260万画素のデジタルカメラです。
ただ、当時のデジタルカメラの技術革新を考えると、このカメラはボディの性能は申し分無いのですが、「デジタル部分」の性能は当時のハイエンド機種に比べ平凡的なものでした。
しかし、この「D1」がカメラ業界に衝撃を与えたのは「技術」ではなく、その価格でした。
発売価格、「65万円」
当時、同時期に発売されていたキヤノン製品は「EOS D6000」が360万円、「EOS D2000」が200万円です。
これに比べると「D1」の65万円という価格は半額以下ですから驚異的なのが解ります。(360万円の方が異常とも言えますが・・・)
「65万円」というのはフリーのフォトグラファーでも背伸びして手が届く価格です。
「ちょっと高いけど仕事の投資なら・・・」
と思うフォトグラファーがこの「Nikon D1」を契機として続出するようになります。
「Nikon D1」は発売と同時に「報道系」のフォトグラファーを中心に急速に普及したと思います。
元々報道はスピードが命です。
新聞紙面に載せる「モノクロ」の写真用であればフィルムよりデジタルの方が圧倒的にスピードがあり、画質に多少問題があってもデジタル化するメリットは十分にありました。
「Nikon D1」がカメラ業界に認知されると、「デジタルカメラ」の商業利用は急速に加速します。
よく考えれば「雑誌・チラシ」など「画質」にそれほど拘らなければ、クライアントにとって「デジタル化」はメリットしかありません。
「フィルムじゃなければ仕事にならない」というのはフォトグラファーの勝手な幻想だったのです。
「Nikon D1」に限らず、この時期のハイエンドデジタルカメラは画質や技術面ではまだまだでしたが、バブル崩壊後の不況に苦しむクライアント達は、コストダウンを目的として「デジタルカメラで仕事が出来ないか?」と言うようになります。
ここに来て、デジタルカメラに見向きもし無かったフォトグラファーたちも「デジタルを始めなければ生き残れ無いかも知れない」と気づくようになるのです。
そしてその「危機感」と「技術発展」はほんの数年で「フィルム」を過去の物にしてしまいます。
おそらく、「Nikon D1」デビューの5年後、2004年にCANONが「EOS 1D markⅡ」を発売する頃、商業写真はデジタルカメラ一色となっていました。
つまり、あれほど時代を謳歌していた「リーバサルフイルム」は僅か数年で「仕事の現場」から無くなってしまいました。
「フィルム」は衰退というような生やさしい状況ではなく、まさに「消滅」してしまったのです。
さて、「Nikon D1」によってこの業界のデジタル化の流れの契機を作った「ニコン」ですが、本来なら先行企業として、圧倒的なシェアを獲得するはずでしたが、現実はそうはなりませんでした。
ニコンの誤算はおそらくセンサー開発の失敗(?)だと思うのですが、とにかく一時期「一眼レフデジカメ」の話題の中心から外れてしまいます。
そのニコンの隙をつくように、「CMOSセンサー」という異色のセンサーに自社の開発をかけた企業が2000年頃から、圧倒的な存在感をもって台頭していきます。
そう、「キヤノン」の逆襲が始まるのです。
つづく
次の記事
デジカメの歴史シリーズの4回目です。
90年代中頃、一眼レフデジカメは200万円する信じられないほどの超高級品でした。
これでは一眼レフデジタルカメラは一般を含めて普及する状況ではありません。
199X年、そこに登場したあるカメラを契機に「ハイエンドデジタルカメラ」はカメラ業界を席巻していきます。
前回の記事
2016/08/22
2016/08/29
2016/09/05
第4話 レジェンド・オブ・デジカメ ④ ~Dの衝撃~
1999年9月、アンゴルモアの大王が降臨して2ヶ月が経つ頃、ニコンは意欲的な一眼レフデジタルカメラを発売します。
「Nikon D1」です。

※wikipediaより
「Nikon D1」はニコンのフラッグシップのフィルムカメラモデル「Nikon F5」のボディをベースに開発された有効画素数260万画素のデジタルカメラです。
ただ、当時のデジタルカメラの技術革新を考えると、このカメラはボディの性能は申し分無いのですが、「デジタル部分」の性能は当時のハイエンド機種に比べ平凡的なものでした。
しかし、この「D1」がカメラ業界に衝撃を与えたのは「技術」ではなく、その価格でした。
発売価格、「65万円」
当時、同時期に発売されていたキヤノン製品は「EOS D6000」が360万円、「EOS D2000」が200万円です。
これに比べると「D1」の65万円という価格は半額以下ですから驚異的なのが解ります。(360万円の方が異常とも言えますが・・・)
「65万円」というのはフリーのフォトグラファーでも背伸びして手が届く価格です。
「ちょっと高いけど仕事の投資なら・・・」
と思うフォトグラファーがこの「Nikon D1」を契機として続出するようになります。
「Nikon D1」は発売と同時に「報道系」のフォトグラファーを中心に急速に普及したと思います。
元々報道はスピードが命です。
新聞紙面に載せる「モノクロ」の写真用であればフィルムよりデジタルの方が圧倒的にスピードがあり、画質に多少問題があってもデジタル化するメリットは十分にありました。
「Nikon D1」がカメラ業界に認知されると、「デジタルカメラ」の商業利用は急速に加速します。
よく考えれば「雑誌・チラシ」など「画質」にそれほど拘らなければ、クライアントにとって「デジタル化」はメリットしかありません。
「フィルムじゃなければ仕事にならない」というのはフォトグラファーの勝手な幻想だったのです。
「Nikon D1」に限らず、この時期のハイエンドデジタルカメラは画質や技術面ではまだまだでしたが、バブル崩壊後の不況に苦しむクライアント達は、コストダウンを目的として「デジタルカメラで仕事が出来ないか?」と言うようになります。
ここに来て、デジタルカメラに見向きもし無かったフォトグラファーたちも「デジタルを始めなければ生き残れ無いかも知れない」と気づくようになるのです。
そしてその「危機感」と「技術発展」はほんの数年で「フィルム」を過去の物にしてしまいます。
おそらく、「Nikon D1」デビューの5年後、2004年にCANONが「EOS 1D markⅡ」を発売する頃、商業写真はデジタルカメラ一色となっていました。
つまり、あれほど時代を謳歌していた「リーバサルフイルム」は僅か数年で「仕事の現場」から無くなってしまいました。
「フィルム」は衰退というような生やさしい状況ではなく、まさに「消滅」してしまったのです。
さて、「Nikon D1」によってこの業界のデジタル化の流れの契機を作った「ニコン」ですが、本来なら先行企業として、圧倒的なシェアを獲得するはずでしたが、現実はそうはなりませんでした。
ニコンの誤算はおそらくセンサー開発の失敗(?)だと思うのですが、とにかく一時期「一眼レフデジカメ」の話題の中心から外れてしまいます。
そのニコンの隙をつくように、「CMOSセンサー」という異色のセンサーに自社の開発をかけた企業が2000年頃から、圧倒的な存在感をもって台頭していきます。
そう、「キヤノン」の逆襲が始まるのです。
つづく
次の記事
2016/09/20
コメント
このカメラ話のシリーズを楽しみにしています。プロカメラマンならではの現場とモデル遍歴を対比する語りが大変面白いです。
D1は私に写真を教えてくれた会社の先輩が持っていまして、数週間ですが貸してもらった事があります。
第一印象はファインダーの画像が小さい!当時の銀塩と比べると、撮影画像が奥に見えて小さくて違和感があってびっくりしました。これがデジタル一眼レフかと。。。
このカメラがAPS-C同等サイズ?(もっと小さかったのかも)のCCDだったと思いますが、デジイチが主流になる日はきっと来ないと思っていました。
D1は私に写真を教えてくれた会社の先輩が持っていまして、数週間ですが貸してもらった事があります。
第一印象はファインダーの画像が小さい!当時の銀塩と比べると、撮影画像が奥に見えて小さくて違和感があってびっくりしました。これがデジタル一眼レフかと。。。
このカメラがAPS-C同等サイズ?(もっと小さかったのかも)のCCDだったと思いますが、デジイチが主流になる日はきっと来ないと思っていました。
このシリーズ、楽しみにと言ってくれる人がいて嬉しいです。
記事自体は6年前に書いたものなので多少手直ししながらアップしてます。
D1が発売された当時、仰る通りデジタルカメラが主流になるなんて思っているフォトグラファーは少なかった事を思い出します。
次回はその常識を粉砕した「キヤノン」の圧倒的な功績と、それは実はちょっとだけ偶然があったのではないかという疑問をなげかける、このシリーズの山場を迎えます。
ただ、この記事はあくまで個人的な推測がベースで書いていますから、事実というより読み物として楽しんでもらえたら有り難いです(笑)
記事自体は6年前に書いたものなので多少手直ししながらアップしてます。
D1が発売された当時、仰る通りデジタルカメラが主流になるなんて思っているフォトグラファーは少なかった事を思い出します。
次回はその常識を粉砕した「キヤノン」の圧倒的な功績と、それは実はちょっとだけ偶然があったのではないかという疑問をなげかける、このシリーズの山場を迎えます。
ただ、この記事はあくまで個人的な推測がベースで書いていますから、事実というより読み物として楽しんでもらえたら有り難いです(笑)
こんにちは!
カメラについては全くの分かりませんが楽しく読ませて頂きました!
ちょうど今、カメラを買おうと考え始めているからなお面白かったんだと思います。
※子供の運動会用などです(笑)
一眼レフ憧れますね!
ちなみにこんな自分にオススメのカメラなどありますか?!
メーカーの違いなどよく分からなくて(汗)
カメラについては全くの分かりませんが楽しく読ませて頂きました!
ちょうど今、カメラを買おうと考え始めているからなお面白かったんだと思います。
※子供の運動会用などです(笑)
一眼レフ憧れますね!
ちなみにこんな自分にオススメのカメラなどありますか?!
メーカーの違いなどよく分からなくて(汗)
はじめまして。
運動会などのスポーツだと、近くで撮るのが難しいので「ズーム」の強いレンズのカメラがいいと思います。
コンデジなら「光学10倍」以上、デジイチなら「200mm」以上です。
例えばキヤノンのコンデジなら「Powershotシリーズ」
デジイチなら「EOS kiss ダブルズームキッド」などです。
今のカメラはオートで撮れば綺麗な写真を撮ってくれるので、機種選びは予算とお店で実際に触ってみて「かっこいい‼️!」と思うカメラが良いと思います。
運動会などのスポーツだと、近くで撮るのが難しいので「ズーム」の強いレンズのカメラがいいと思います。
コンデジなら「光学10倍」以上、デジイチなら「200mm」以上です。
例えばキヤノンのコンデジなら「Powershotシリーズ」
デジイチなら「EOS kiss ダブルズームキッド」などです。
今のカメラはオートで撮れば綺麗な写真を撮ってくれるので、機種選びは予算とお店で実際に触ってみて「かっこいい‼️!」と思うカメラが良いと思います。